新しい庭付きの家に住み始めたなら、庭いじりをしたいと思われることでしょう。
植木を植えたり花を植えたり芝生を張ったり色々と夢が膨らみます。でもちょっと待って!今お庭にある土は植物が育つ土なのでしょうか?
庭の土の診断から始めよう
今回は、土壌改善の基礎について少しだけお話しします。
もしあなたの家が造成された場所に建てられたのであれば、お庭にある土についてしっかりとまずは観察されることをお勧めします。
一般的に造成された場所では切土盛土が行われていることが多いです。
造成とは、家を建てる前に、土地を平らにするために盛り上がっているところを削り、へこんでいるところに削った土を入れる作業のことです。土を削ることを切土、土を入れることを盛土と言います。
普通は地表面から60-100 CM くらいまでが園芸に適した土となると言われています。そこから下は岩盤のような非常に硬く、耕すことも難しい土になります。造成の際にこの地表面の土が削られていると、その下の園芸に向いていない土が庭にむき出しになっていたりします。また土を盛った場所の場合、地表面よりも下の園芸に適さない土が盛られている場合があります。客土としてその上に飾り程度に10 -20CM 程園芸に向く土を盛っている場合がありますが、実際には10 -20CM では植物を植えるのはあまりお勧めできません。
では、どうすればいいでしょうか?
もしそのような土壌でお庭の土が構成されている場合、できるなら30-60 CM の深さまで土を削って新しい基本の用土を入れることをお勧めします。
基本用土にはどんなものがあるの?
一般的に3種類の基本用土が用いられています。実はこの3種類の基本用土、関東ローム層からすべて採掘できます。
その1 黒土
黒土は関東の平野部に広く見られる自然土壌の表層にある弱酸性の土です。
黒くほくほくした土なので黒ボク土とも言われています。黒土の特徴は柔らかくて生物由来の有機質(落葉や生物の死骸など)が微生物によって分解されている良質の土です。粘土質ですが、保水性保肥性に優れたおすすめの土です。一方で病原菌等も存在しており植物が病害虫に直面しやすい傾向があります。
その2 赤土
赤土は関東ローム層で黒土の下の層にある弱酸性の土です。
黒土と違い有機質や微生物が少ないです。反面病原菌が存在しにくく、植物が病害虫に侵されにくい土でもあります。
乾燥して固い土なので任意のサイズに砕いて売られているのが赤玉土です。基本無菌なので室内園芸に向いています。
もちろん畑などでも使用されます。粘土質で黒土同様保水性保肥性に優れています。
ちなみに、赤土は土の中の鉄分が錆びて赤く見えるそうです。
その3 鹿沼土
鹿沼土は関東ローム層(主に栃木県)で赤土の下の層にある酸性の軽石です。
主に栃木県周辺で採掘できるのは、群馬県の赤城山の噴火によって降り積もった堆積物だからです。軽石なので排水性の良い土です。
ただし、酸性が強くこのままで使用するのはおすすめできません。ツツジのような酸性土を好む植物の土として、他の土と混ぜて排水性の改善をするためとして、また、排水の良い土壌を作るための主要土壌として(石灰を混ぜて酸度調整した後) 使用します。
結論として、どの土を基本用土に採用すればいいの?
それはズバリ黒土です。本当は3種類を混合することができればベストですが、余計に手間暇がかかるので黒土でよいでしょう。土を入れ替えるのは想像以上に大変なので、植木屋さんに頼むのがお勧めです。
でも、土づくりはこれで終わりではありません。植物が生き生きと育つためもうひと踏ん張りが必要です。そのことについて次回土壌改良編で取り上げます。